元になっている題材「南部の唄」について
「南部の唄」は1986年以降、劇場公開がなくなり、DVDなどのリリースも廃止されました。
アメリカが抱えている根深い人種問題に、この映画が触れているためとされています。
大人気アトラクション「スプラッシュマウンテン」についてはこちら👇
ブレア・ラビットについて
ブレア・ラビット (Br’er Rabbit) の「ブレア」は、Brother(ブラザー)のアメリカ南部なまりです。
ブレア・ベアとブレア・フォックスとブレア・フロッグも同様です。
ジャーナリスト、フィクション作家、民俗学者であったジョーエル・チャンドラー・ハリスが書いた物語『リーマスおじさん(Uncle Remus)』シリーズ中に登場するキャラクターが「ブレア・ラビット」です。
このシリーズの物語を元にして、ディズニーが1946年11月に公開された映画(実写とアニメーションのコラボのミュージカルドラマ)が『南部の唄』です。
日本での公開は、1951年10月です。
作家のジョーエル・チャンドラー・ハリスについて
彼は1848年、ジョージア州イートントンで生まれました。
アイルランド移民のひとり親の家庭で育ちます。
1862年からの4年間、新聞などを刷ったり印刷業の手伝いをして生計を立てました。
休憩時間や休みの日に、図書館へ行き本をたくさん読み、黒人の奴隷がいる場所へ行き話しを聴きます。
そのときに吸収した、南部なまりの言葉や発音などが『リーマスおじさん(Uncle Remus)』の物語を生みました。
生涯で合計185の物語を書き上げました。
当時は白人の物語しか存在しておらず、彼が書いた黒人が主人公の本は、アメリカ全土や海外の読者の間で絶大な人気を博したそうです。
「ブレアラビットの悪ふざけ」の章が絵本になっていて音読してくれています👇
ウォルトディズニースタジオが『南部の唄』として、彼の物語の映画化の権利を取得したのは死後31年後です。
1946年11月にアトランタのフォックスシアターで初演されて以来、大成功を収めます。
さらに、スプラッシュマウンテンでもおなじみの曲「Zip-a-Dee-Doo-Dah」がアカデミー歌謡賞を受賞。
また、リーマスおじさんを演じた俳優のジェームス・フランクリン・バスケットは名誉アカデミー賞を受賞しました。
トム・ソーヤーの物語などで世界的に有名なマーク・トウェインは、彼の物語を大絶賛します。
そして、自分の本にも南部なまりの言い回しなどを取り入れています。
生まれ故郷のイートントンにはブレア・ラビットの像とアンクルリーマス博物館があります。
ディズニーのブレア・ラビットとは、かなり姿が違いますね👇
ディズニーのストーリー
発禁になっている映画のストーリーを、箇条書きでご紹介します。
・ジョージア州アトランタに暮らす白人の少年ジョニーは、家族で祖母の農場に移住する。
・父のジョンは仕事の都合でアトランタへ戻る。
・少年ジョニーの心のさみしさを埋めてくれたのは、農場で働く黒人のリーマスおじさんが話す「ブレアラビット」が主役の空想の物語だった。
・隣の白人の少女ジニーや近所のトビーも一緒になり、リーマスおじさんの物語に夢中になる。
・しかし、ジョニーの母サリーは息子が黒人と仲良くするのを快く思わないでいた。
・ジョンの誕生日がやって来る。
・ジニーはドレスを着て参加しようとしたが、意地悪な兄たちにそのドレスをドロドロに汚されてしまう。
・ジョニーはぶち切れて、ジニーの兄たちにケンカを仕掛ける。
・その様子を目撃したリーマスおじさんは仲裁に入る。
・誕生パーティーに行けなくなり、しょげている二人に「ブレアラビットの笑いの国」の物語をして励ます。
・母サリーは、誕生日をすっぽかしたことに腹を立てる。リーマスおじさんに「二度と息子に近づかないで。農場もクビだから!」と言い放つ。
・リーマスおじさんが父ジョンと同じ、アトランタへ行ってしまうと知る。
・ジョニーはリーマスおじさんの後を追いかける。
・しかし、間違って牧場に入り込んでしまう。
・母サリーが見ている目の前で暴れ牛に突き飛ばされて大ケガを負う。
・連絡を受けた父ジョンが駆けつける。
・ベッドで意識がもうろうとするジョニーは「リーマスおじさん。。。帰ってきて。。。」と繰り返す。
・リーマスおじさんも事情を知り、祖母に連れられてジョニーの元へやって来る。
・ジョニーのお気に入りの「ブレアラビットの笑いの国」の物語を耳元で話すと、ジョニーの意識が戻る。
・父ジョンは「もうアトランタへは戻らない。家族でここで一緒に暮らす。」と言い、母サリーもジョニーの気持ちを汲めなかったことを反省する。
・リーマスおじさんも再び農場で働けるようになり、ジョニーも元気になり一件落着👏
・最後は、物語から飛び出した、ブレアラビットなどと共に「Zip-a-Dee-Doo-Dah」を歌う。
さいごに
奴隷制度については、奴隷解放令が出されてから150年以上経った今現在でも消えない歴史として残っています。
当時は、奴隷として生きていかなければならない時代が約200年にも渡って続いてきたことを思うと解放宣言されたとは言え、簡単にはいかない問題として議論が巻き起こるのは理解出来ます。
ひとりひとりが、違う意見があって当然であるからして、ディズニーが慎重になり単なるエンターテインメントとして片付けられず、自主規制を続けているのだと思います。
アメリカ国内のパークには「スプラッシュマウンテン」は、いずれ存在しなくなります。
→アトラクションは惜しまれつつ終了しました。
しかし、東京の「スプラッシュマウンテン」は映画「南部の唄」自体をテーマにしておらず、あくまでもアニメーションの部分をメインに引用しているので、今のところアトラクションの変更はしない方針だそうです。
※変更があるかもしれません。
そうなると、海外在住の「スプラッシュマウンテン」ファンがTDLに押し寄せて来るかもしれませんね。
動画にまとめました👇