ディズニーキャストメンバーの仕事
ディズニーキャストメンバーの仕事は多種多様で、勤務地や職種によって大きく異なります。
こちらは、ウォルト・ディズニー・ワールド(WDW)のディズニーカレッジプログラムの学生が就く仕事についてです👇
WDWの中でも、マジックキングダム、エプコット、アニマルキングダム、ハリウッドスタジオの4大パークと、ディズニーリゾートホテル、ディズニースプリングスでは、全く異なる役割が求められます。
ディズニーは世界的に評価が高い会社です。
また、従業員を大切にする会社でもあります。
多くのキャストメンバーは、ディズニーで働くことに誇りを感じていることでしょう。
しかしほとんどの場合、労働時間は長く、仕事は厳しく、報酬はかなり控えめです。
その他にも、ディズニーブランドの品質を保つため、服装、態度についてかなり厳格なルールがあります。
そのための教育と、実践的なトレーニングを受ける必要があります。
かなり厳しいイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。
体験してみないとわからない世界ですからね。
それなので今回は、ディズニーカレッジプログラム(DCP)以外のフルタイム、パートタイマーの方々が経験したWDWでの仕事の本音をまとめてみました。
こちらは、DCPの仕事がつらくて辞めてしまった方のお話👇
あらゆる勤務時間に対応
応募の条件のひとつに「週末や祝日は、基本的に休めません」とあります。
大型連休の取得は、実質的に不可能です。
繁忙期に働くのが、当たり前の職場ですからね。
勤務時間について
勤務地によって全く違います。
一例を挙げます。
フルタイムシフト
・8~12時間勤務が5~6日。
・繁忙期は、12時間以上の場合も。
短時間シフト
・8時間未満勤務
・繁忙期は、ダブルタイムシフトになる場合も。
→例えば、夕方17~深夜1時。と、次の日の朝8~14時までなど。
うちの子が、DCP時代に乗っていた早朝シフトのバス内👇
光って見えるゲートはこれです👇
多数のイベントと整ったサポート体制
家族との時間を大事にするアメリカ人には、ホリデーシーズンに家族と離れて過ごすのはかなり憂鬱なのだそう。
もちろん理解して働いているようですが、やはり寂しい気持ちになるでしょうね。
そんなキャストメンバーのために、ホリデーパーティーやイベントが数多く行なわれています。
このようなイベントを楽しむことが、多くのキャストメンバーの励みになっています。
また、精神的な問題などに対処するサポート体制も整っていることも心強いです。
バックステージでのパーティーの様子👇
ミッキーを始めとするキャラクターも駆けつけてくれます👇
こちらの動画は、2022年6月21日の「世界Yogaデー」にキャストメンバーが出勤前に集まり、ヨガを楽しみ、健康と幸福を体感した様子が見られます。
WDWのマジックキングダムでは、1700人以上が参加しました。
高騰する家賃
アメリカの家賃問題は、年々ひどくなっているように感じます。
特にオーランドの家賃は、凄まじい勢いで高騰中です。
日本人のDCP学生は、フラミンゴ・クロッシングの寮に住めるのであまり考えなくていいでしょう。
この問題は、フルタイムシフトのキャストメンバーが、必ずぶち当たる壁です。
WDW周辺のオーランドでひとり暮らしなんてのは、ディズニーの給料だけではまずもって無理です。
誰か他のキャストメンバーとルームシェアし、工夫して生活しています。
日本人のDCP学生が住む寮の「フラミンゴ・クロッシング」👇
家賃問題とは全く無縁の、富裕層が購入するWDW内の「Golden Oak 」👇
コスチュームについて
コスチュームの引き取りと返却について。
キャストメンバーは、パーク毎にあるコスチューム倉庫へ出勤前に立ち寄ります。
まず、膨大なラックの中から、セクション毎に並べられたシャツ、ズボンまたは、スカート、靴など、自分に合ったサイズのコスチュームを探します。
そして、貸し出し所でバーコードをスキャンして手続き完了。
※一度に借りられるアイテムは、5アイテムまでです。
(シャツ、ズボン、ネクタイ、帽子、靴下など。)
コスチュームに着替えて勤務開始です。
勤務時間が終わったらまた、コスチューム倉庫へ立ち寄り返却します。
自分に合ったサイズがなかなか見つからない場合があったり、毎回時間がもったいないと感じるのであれば、コスチュームを借りたまま、自分で洗濯して管理することもできます。
コスチューム着用したまま、車やバスで帰ることは可能です。
それなのでキャストメンバーは、自分で管理している比率が高いです。
しかし、キャラクターパフォーマーと、自分では簡単に洗濯できない素材のコスチュームは、そうもいきません。
毎回、出勤前と後に必ずコスチューム倉庫に通わなくてはなりません。
コスチュームは、スキャンシステムによって管理されているので、各キャストが何着のコスチュームを持ち帰っているか、一目瞭然。
キャストがディズニーを辞める際には、すべてのコスチュームが返却されているかチェックします。
万が一返却されないとなると、罰金を請求された上に、ブラックリスト入りの可能性もあるようです。
自分で管理しやすいコスチューム👇
毎回、貸出&返却の手続きをするパフォーマー👇
ディズニー世界のキャラクターを演じる
キャストの大きな役割は、キャラクターを演じ続けることでしょう。
これは、パフォーマーだけの話ではありません。
マジックキングダムでも、ディズニーオフィシャルホテルでも、働く場所に応じた専門用語を覚えなければなりません。
キャストは、自分たちがショーをつくっているのだということを自覚しています。
そのため、ディズニーでは髪型やメイク、タトゥーに関しても厳しい規定があります。
もし、キャストが「Disney Look(ディズニールック)」を守っていない場合、IDに記録されます。
この記録があると、キャストは昇進や異動ができない仕組みです。
また、遅刻、無断欠勤、コスチューム忘れなどでも記録されます。
花火やショーで一日を締めくくる
キャストのつらい体験ばかりを載せてきましたが、楽しい体験もたくさんあります。
例えば、パーク内で働くキャストの場合、夜のシフトは特別なショーや花火を見られる確率が高いです。
ゲストの嬉しそうな笑顔も見られますし、1日働いて疲れた身体を癒やしてくれる素敵な瞬間でもあります。
子どもが夜勤中によく見た「Happily Ever After」のショー👇
「Happily Ever After」を動画にまとめました👇
世界各国の人々と働き、交流する
ディズニーで働く大きな魅力のひとつに、世界各国から訪れるゲスト、またはキャストメンバーとの出会いがあります。
また、さまざまな文化や人々について触れられ、お互いの価値観を共有することができる機会に溢れています。
日々出合う、ゲストについて。
雨に打たれ、10時間立ちっぱなしで足のけいれんの痛みを感じる中、理不尽に怒鳴られたり、わがままな子どもの対応をしなければならないのはつらいです。
「3時のパレードは何時からなの?」と、ほぼ毎日聞かれます。
キャストは毎日たくさんの質問を受けますが、丁寧に答えなければなりません。
たとえその質問が、くだらないものであってもです。
ディズニーで働くことを心から喜んでいるキャストの数と、作り笑顔をしているキャストの数は、半々くらいです。
常に「オン」でなければならないのは大変ですし、気分が良い日も悪い日もあって当然だと思います。
またキャストは、ゲストの体験を左右する存在です。
しかしゲストを厄介者扱いするキャストがいるのも、これまた事実です。
毎日たくさんの幸せな笑顔をもらっています。
ゲストとジョークを言い合ったりする時間は楽しいです。
秘密のコードとディズニーポイント(二本指での指差し)
シークレット・コード(秘密のコード)
キャストは、ゲストにはわからないような暗号やフレーズを使い、ゲストが冷静でいられるように、あるいは特定の状況に気づかれないよう配慮します。
「秘密のコード」の一例👇
Code -Vとは、ゲストが嘔吐したときに使われる「秘密のコード」です。
周りにいるゲストになるべく悟られないように、カストーディアル(清掃員)に伝え、嘔吐物を片付けます。
おがくずを撒き水分を吸収させ、ほうきで履いて処理します。
※実際にパレードを待っている間に、この目で見ました。
キャストは誰ひとり慌てる様子もなく、素早く処理し、跡形もなくきれいになったのには驚きました。
ディズニー・ポイント
キャストメンバーは、1 本の指で指さすことを許可されていません。
「ディズニー ポイント」として知られる、開いた手のひらまたは人差し指と中指の2本を合わせてゲストを案内する必要があります。
彼はよくタバコをくわえていたので、2本指で指差していました。
(イメージが良くないので)タバコを編集で消して、指差ししているよう自然に見せていたのです。
好きなときに好きなだけパークに行ける
仕事中が休みの日は、好きなパークに行き、好きなだけ楽しむことができるのがキャストメンバーの最大の魅力でしょう。パークはキャストのための遊び場でもあるのです。
※ブロックアウト(人数制限)がかかる日は、利用できません。
また、働き出して3ヶ月経過したキャストには、友人や家族のための無料パスが発行されます。
マジカルモーメント(魔法のような瞬間)
ゲストが、キャラクターサインを求めたり、一緒に写真を撮ったりすることがあります。
願が叶ったゲストは、満面の笑みを浮かべ「Thank you.」と言ってくれます。
その瞬間、ゲストはもちろん嬉しいでしょうが、キャスト側も喜びを味わえる貴重な瞬間です。
このような幸せ体験を求めて、人々はディズニーに集まってくるのです。
誰かのために何かをしてあげる、つまり「マジカルモーメント(魔法のような瞬間)」を作るというのは、キャストとしてこれ以上ない喜びだと思います。
だからディズニーで働きたいと思う理由は、他では味わうことのできない最高に幸せで、魔法のような体験を共有できるからなのでしょう。
すべてのキャストメンバーに感謝!
「The Most Magical Place on Earth(地球上で最もマジカルな場所)」と呼ばれるWDWやその他のディズニーパークでは、季節のイベント毎にやることが変わり、キャスト自身もゲストのように楽しめる要素があります。
そういった意味では、とても魅力的で刺激のある楽しい職場だと思います。
しかし他の仕事と同様に、良い面もあれば悪い面もあります。
繁忙期は、とくに大変です。
長時間勤務からくる疲れとストレスが溜まっていることでしょう。
ゲストも、人混みの多さに疲れイライラすることもあるでしょう。
そんなときこそ、お互いに笑顔で感謝の気持ちを持つことが大事だと思います。
ゲストは、親切にしてくれたキャストにお礼を伝えることができるアプリシステムがあります。
詳しくはこちら→More 50th Magic: Another Way to Share Compliments via My Disney Experience Mobile App
キャストメンバー同士で認め合う
さいごに、ハリウッドスタジオのキャストが実際に行なっていた素敵なストーリーを。
私は、「Recognize Now !」を通じて、リーダーやキャスト仲間を称えようと決めました。毎週定期的に時間を取りメモを書き、特別な感謝を受けるに値する、すべての人に光を当てるようにしたのです。その結果、1万通を超えるメモが集まりました。
「私はいつも、自分が感謝されたいのと同じように、他の人にも感謝することを固く信じています。」
「私たちキャストが注目されること、そしてすべてのキャストが注目されることが大切なのです。私があなたに気づいていることをわかってください。」
(ざっくり日本語訳)
Recognize Now!について👇
ディズニーでは、キャストにとって「The 5 Keys (5つの鍵) safety, courtesy, show, efficiency and inclusion(安全、礼儀正しさ、魅せる、効率と包括)」が重要です。
そのためディズニーでは、キャスト同士が簡単に感謝の気持ちを伝えたり、認め合うことのできる「Recognize Now!」というオンラインツールを用意しています。
引用 What’s Being a Cast Member REALLY Like?
What’s It’s REALLY Like to Be a Disney Cast Member
Former Disney worker reveals all the insider secrets of working for a mouse
Want to know what it’s really like to work at Disney?
忘れてはならないのは、ゲストは何ヶ月も、あるいは何年も前からこの旅行を計画しているということです。
かなり高価な体験ですから、すべてがスムーズに、完璧に進むことを多くのゲストが望んでいます。しかし、色々上手くいかない状況になると、理由もなく怒鳴られることもあります。
キャストは訓練を受けているので、このような状況で何をどうすべきかわかっています。
これは仕事の一部であり、忍耐力が鍵となります。