ウォルト・ディズニーの退役軍人としての功績

Walt Disney Family Museum ウォルトディズニー
HarshLight Walt Disney Family Museum
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ウォルトと第一次世界大戦

ウォルトは1917年、16歳のときに第一次世界大戦にフランスへ赴き、米国赤十字社のボランティアとして従事していました。

ウォルト・ディズニーが、どのように戦争に関わったのか追っていきます。

休戦後のフランスで赤十字のボランティアを

サラエボ事件を切っ掛けに第一次世界大戦が勃発、アメリカが未曾有の大戦争に参戦すると、愛国心に駆られたウォルトは高校と美術学校を退学し、陸軍に志願した(兄のロイも同様に志願して兵士となっている)。
実はこの時ウォルトは16歳であり、軍に志願するには年齢が1歳足らなかったが、受付の列に並んでいる途中でこっそりとペンで生年月日を書き換えて誤魔化した。
しかし兄と違い若年であったために軍に説得され、兵士としての勤務の代わりに、赤十字社衛生兵として負傷した兵士の治療や輸送に従事した。

出典: Wikipedia 『ウォルト・ディズニー』より

軍の規定は17歳から採用となっていましたが、年齢を偽っていると書いてあります。
パスポート申請書の生年月日を1901年から1900年生まれにうまいこと書き換え、見事17歳になりすましました。
しかも、高校と美術学校を退学してまで、志願したとは・・・驚きです。

まず、アメリカのシカゴ大学近くの一時的な野営地で訓練を受けました。
訓練内容は、車のモーター修理方法・車両の組み立てと分解方法・起伏の多い場所での運転方法などです。

そして訓練を終え、いざフランスへ就航となった時点で、ウォルトはインフルエンザにかかってしまいます。
そのため、ウォルトが所属していた部隊は彼を置いて出航します。
インフルエンザから回復して別の部隊の出航を待っている間に戦争は休戦。
1918年11月11日のことでした。※現在アメリカでは退役軍人の日で祝日です。
しかし、仲間の部隊を助けるための要員としてフランスへ向けて旅立ちます。
1918年12月4日。そう、 ウォルトの17歳の誕生日の前日のことです。
定員いっぱいの50人を乗せて、改造された家畜船でフランスを目指しました。
ウォルトは50番目の隊員に登録されていました。

縁を感じる場所に到着

偶然にも、祖先の故郷である同じノルマンディー圏内のLe Havre(ル・アーヴル)に船は到着します。
そこから電車で移動し、「セントシル城」に配属され衛生兵として従事します。

現在の美しい St.Cyr(セントシル城)の映像です👇

Chateau de St Cyr du Bailleul

それから何ヶ月後にパリロンシャン競馬場の野戦病院で救急車の整備士と運転手、また陸軍司令官達をカジノへ連れて行くタクシーサービスを担当します。

さらに、Neufchâteau(ヌフシャトー)の村へ移動します。
ウォルトの役目は、赤十字の食堂で働くアリス・ハウエルさんが、ドーナツとアイスクリームを様々な食料を軍の基地病院の患者へ届けるための運転手でした。
そのときに仲良くなったアリスさんに、数年後のクリスマス、ミッキーマウスのぬいぐるみを贈っています。
任務の休憩中、車のほろなどに描く彼のスケッチや風刺画は仲間達に称賛されていました。
後にアリスさんも、こう証言しています。「彼は、ドライバーとして私を病院へ連れて行くのに忙しくしていました。それでも絵を描き続けていました。」と。

アメリカへ帰国

1919年9月22日、ウォルトはアメリカへ帰国する船に乗船しました。
わずか10ヶ月弱の任務ではありましたが、若干17歳の若者であったウォルトにとって、その後の人生観を変えるほどの出来事だったようです。
このフランスでの生活からインスピレーションを得て、さまざなアニメーションが生まれたと後ほど語られています。

退役軍人を積極的に雇用

ディズニーカンパニーの退役軍人に対する姿勢👇

2012年3月、ウォルトディズニーカンパニーは、帰国した退役軍人を雇用、訓練、支援するための全社的なイニシアチブであるHeroes WorkHereを発表しました。

Heroes Work Hereは、ディズニーが米国の武装サービスに対して持っている尊敬と感謝の長い歴史を反映しています。私たちは、あなたの国に奉仕するために必要なコミットメントと献身を認識し、軍があなたに植え付けたリーダーシップスキルと目的意識を評価します。

私たちのサイトを探索し、ストーリーの次の章をどこから始められるかを発見することをお勧めします。検索する役割がわかりませんか?上記の求人を検索して調べてください。 (機械翻訳より)

https://jobs.disneycareers.com/heroes-work-here

アメリカでは、退役軍人に対して手厚い制度が整えられています。
ウォルトディズニーカンパニーもそのひとつの企業です。
Heroes Work Here」と名付けられたこの制度。
「ヒーローズ」として迎えられるのは、日本にはない発想ですね。
国のために戦ってきたことを称えるその精神、とても素敵だと思います。

Heroes Work Here 

毎年11月11日のベテラン・デー(退役軍人の日)に元軍人のキャストメンバーに対する表彰をおこなっています。

2021年の様子が動画に上がっています。

創業時からの伝統「Flag Retreat」

退役軍人や現役の軍人を「英雄」と呼び、支援する取り組みは、ウォルト・ディズニー・カンパニーの創業時から続いています。もはや、伝統になりました。
「英雄」を称えるために、園内では毎日17時から、米国の星条旗を掲揚するセレモニーを行っています。
実際に、マジックキングダム「タウンスクエア」前の広場にて「フラッグ・レトリート・セレモニー」を見ました。

事前に選ばれたアメリカ人のお子さんが、忠誠の誓いを唱えます。
そしてこちらも事前に選ばれた退役軍人の方が見守る中、「The Star-Spangled Banner / アメリカ合衆国の国歌」(フィルハーモニー・マーチングバンドの生演奏&生歌)が流れ、星条旗が降ろされます。
右手を左胸に当てて忠誠を誓い、背筋を伸ばしている方がたくさんいました。
次は、「God Bless America」が流れ、星条旗をたたみ、退役軍人の方に手渡します。

このセレモニーは、過去と今現在、国を守って活動されていた(いる)人々に対して、心からの感謝を捧げる機会として毎日行っています。

これは、ウォルトとロイの愛国心に対して、心から敬意を払い、園内に訪れた方達との共通事項として欠かせない伝統行事であり、アメリカ人にとって、特別な瞬間でもあるのです。

Your Friends From Florida

ウォルト・ディズニー・ミュージアムでも

サンフランシスコにある「ウォルト・ディズニー・ファミリー・ミュージアム」でも毎年の恒例行事で退役軍人に対する功績を称えています。

この退役軍人の日には、国に貢献した人々を祝います。
ウォルト・ディズニー・スタジオと第二次世界大戦」は、第二次世界大戦で連合国側の努力にスタジオが多大な貢献をしたことを記念して開催されます。
現役・退役・退役軍人の方は年間を通して入場無料です。


The Walt Disney Family Museum @WDFMuseum

退役軍人の生の声を聴いてそれを壁画に絵を描くアートが見られるそうです。
退役軍人はもちろん、その家族、現役の軍人の方は入場無料です。
なかなか素晴らしい試みですね。
多くの退役軍人の方がトラウマを抱えていて、PTSDの症状があると聞きます。
そういう症状を少しでも和らげて欲しいという想いと、イベントを通じて感謝を伝えている気がします。

戦争を経験したウォルトの言葉

生前、ウォルトはアメリカの未来について次のように語っています。

Tomorrow will be better as long as America keeps alive the ideals of freedom and a better life.

Walt Disney

「アメリカが自由とより良い生活の理想を生き続けている限り、明日はより良くなるでしょう。」(機械翻訳より)

4兄弟の功績をたたえて

現役のディズニー家の方々が、ウォルト家族の思い出の地であるミズーリ州カンザスシティの墓地の軍人の記念碑に名前を刻みました。

・長男 Herbert Arthur Disney ハーバート・アーサー・ディズニー(米国陸軍)

・次男 Raymond Arnold Disney レイモンド・アーノルド・ディズニー(米国陸軍)

・三男 Roy Oliver Disney ロイ・オリバー・ディズニー(米国海軍)

・四男 Walter Elias Disney ウォルター・イライアス・ディズニー(米国陸軍赤十字)


ウォルトや他の兄弟達の墓地はまた別の場所にあります。
カンザスシティ・レネックサの復活カトリック墓地は、「Veterans Memorial」の場所に退役軍人の方々の名前が刻まれた記念碑があります。
ここにウォルト兄弟達が戦争を経験した証を残しました。
誰でも自由に訪れることができます。

RESURRECTION CEMETERY
83rd Street and Quivira Road • Lenexa, Kansas

RESURRECTION CEMETERY
© OpenStreetMap contributors

http://cathcemks.org/wp-content/uploads/2015/04/CC-Pilgrimage-Low-D.pdf

兄ロイの貴重な海軍服

米国赤十字社に

ウォルトディズニーカンパニーは、2003年のカリフォルニアの大規模な山火事が起こり、赤十字の避難場所で一時避難を余儀なくされた子供達のもとにミッキーマウスを始めとするキャラクターが訪問しました。
2004年にはミッキーマウスのぬいぐるみ15万点を米国赤十字社に寄付しています。
そのほかにも書き切れないほど、たくさんの寄付をおこなっています。
ウォルトが戦争時に赤十字の活動を行っていたことから、とのことです。

こちらのHPでボランティア活動の詳細が見られます👇

https://thewaltdisneycompany.com/app/uploads/2019/05/CSR-Report-JPN.pdf

さいごに

戦争は悲しい行為です。
しかし、戦争を繰り返して世界が成り立ってきた事実は変えられません。
その事実に向き合うことが大事だと思いました。
アメリカの軍人さん達は、自分の職業に誇りを持って生きています。
その精神は美しく、感動すら覚えます。
決して戦争を美化しているわけではありません。
アメリカの社会の中で大切に扱われ、尊敬すらされる彼らの立ち位置。
退役した後の、第2の人生を設計しやすいように国全体で支えています。
ウォルトディズニーカンパニーでも、雇用を積極的にしています。
そういった社会全体の行動からアメリカらしさを感じることができました。

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