ディズニー・ハリウッドスタジオの恐竜ガーティについて

GERTIE THE DINOSAUR Walt Disney World
buschap Dinosaur Gertie's ice cream stand
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ディズニー・ハリウッドスタジオのエコーレイクに鎮座する緑色の恐竜

ハリウッドスタジオといえば、この緑色の恐竜。
草を食べています。一度は見たことがあると思います。
私は始めに見たとき、ネッシー?と思ってました。
もちろんネッシーではありません。
アメリカ人でも、この恐竜の正体を知っている人と、全然知らない人がいるようです。
日本人なら、知らない人の割合がかなり多いはずと思い、今回取り上げてみました。

この恐竜の名前を知っていますか?
ディズニー映画には一切出演していないのを知っていましたか?
それなのに、なぜエコーレイクに鎮座しているのか知っていますか?
ウォルトと、なにか関係があるのでしょうか。

このように、謎だらけの恐竜の正体を、解明していきましょう。


クリスマスの時期は、サンタの帽子をかぶり、オーナメントをくわえています。
今年は特別です。50周年記念のオーナメントなのです。

細かい演出ですね。気づいている人の方が少ないかもしれません。

ちなみに「アーロ」ではありません。

彼女の名前はガーティ

今から107年前、1914年にシカゴで発表された作品「 DINOSAUR GERTIE(ダイナソー・ガーティ) 」が元ネタです。
この恐竜はメスで、ガーティという名前が付けられました。

Winsor McCay (ウィンザー・マッケイ ) の作品

1914年に「 Gertie the Dinosaur (ガーティ・ザ・ダイナソー)」という作品が劇場公開されました。
新聞漫画家の Winsor McCay (ウィンザー・マッケイ )によって生み出されたアニメーションです。

当時としては、画期的な手法を使い、観客をとりこにしました。

マッケイは、舞台上でアニメーションについての説明をして、スクリーンに映し出されるアニメーション(恐竜ガーティ)と、マッケイとの掛け合いを面白おかしく表現します。

最後のシーンでは、ムチを持った猛獣使いにふんしたマッケイが舞台に登場します。
そして、背景のスクリーンに映し出された恐竜のガーティに芸をさせ、なんとアニメの中に入りこみ、ガーティが大きく開けた口に乗ってみせる演出を披露したのです。

舞台上にいた、マッケイ本人が、いきなりアニメーションの中に入り込んでしまう手法は(本人とアニメのマッケイが、すばやく入れ代わる) 100年以上前の世の中では、手品のように摩訶不思議な感覚で、とても驚いたことでしょう。
観客の、拍手が鳴り止まなかった光景が目に浮かんできます。

Gertie the Dinosaur ( ガーティ・ザ・ダイナソー ) 1914年

13分強の史上初、大ヒット短編映画作品

DINOSAUR GERTIE(ダイナソー・ガーティ)」は大人気の舞台作品となりました。
その人気を受け1914年に、マッケイは、今で言うメイキングビデオのようなバージョンを加えて映画を作りました。映画のタイトルは「Gertie the Dinosaur(ガーティ・ザ・ダイナソー)」です。


たちまち 「Gertie the Dinosaur(ガーティ・ザ・ダイナソー)」は大ヒットアニメとなり、恐竜ガーティは、映画史上初の人気キャラクターになったのです。

マッケイは、半年間もかけて、一万枚の絵を描き仕上げました。
背景もフレーム毎に1枚1枚描いたのです。
わかりやすく言うと、パラパラ漫画のような感じで、同じ絵を使っていません。
時間と手間がものすごくかかった作品なのです。

ウォルトディズニーに衝撃を与えた作品

ウォルトは12歳のときに、ミズーリ州カンザスシティの映画館でこの作品を見て衝撃を受けます。
自身のアニメーターでのキャリアに、最も影響力を与えた作品だったようです。

1955年、ウォルトは「ディズニーランド」というテレビ番組の中で「The Story of the Animated Drawing(アニメーション画のストーリー)」というコーナーを設けて、マッケイのパフォーマンス(本人が、映像の中に本人役で現われること)を再現させました。

1950年代に、ウォルトはウィンザー・マッケイの息子をLAのディズニー・スタジオに招待します。
ウォルトは敷地内を案内し、身振り手振りで「 これらは、(すべて君のお父さんの功績に由来するので)君のお父さんのものであるべきだ 」と言ったそうです。

マッケイ&ガーティへのオマージュ

マッケイはウォルトだけでなく、当時アニメーターを目指す若い人達の先駆者だったのです。
彼のスタイルを真似して、それぞれの個性を生かしたアニメーションがたくさん生まれ、アニメが産業として確立し、大きく成長を遂げるのでした。

ディズニー・ハリウッド・スタジオの前身の「ディズニー MGM スタジオ」を建設する際、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングはウォルトとマッケイ&ガーディに敬意を示し、また、アニメーションの歴史における『マッケイ&ガーティ』の重要性を後世に伝える意味でも、巨大な恐竜ガーティーを建設しました。

だから、ディズニー映画とはなんの関係もない「恐竜のガーティ」がアイコンとしてハリウッド・スタジオに鎮座しているのです。

DINOSAUR GERTIE’S ICE CREAM of Extinction

ガーティのおなかは、「 DINOSAUR GERTIE’S ICE CREAM of Extinction (絶滅した恐竜 ガーティのアイスクリーム)」という名前のアイスクリーム屋です。
10:00~17:00の営業で、二種類のミッキーマウス型アイスを売っています。

GERTIE THE DINOSAUR
buschap Dinosaur Gertie’s ice cream stand

説明看板👇

Dinosaur Gertie's backstory
Dennis D Dinosaur Gertie’s backstory

DINOSAUR GERTIE’S ICE CREAM of Extinction」は、1914年に実物大でスクリーンに映し出された有名なアニメです。
作者のウィンザー・マッケイと一緒に舞台に立ったことで知られる「恐竜のガーティ」へのオマージュとして制作されました。
この建物は、「カリフォルニア・クレイジー」と呼ばれる建築様式を採用しています。
1930年代に流行したこの建築様式は、潜在的な顧客の関心を大きく引きつけるようにデザインされています。(ざっくり日本語訳)

引用 https://wdwnt.com/2021/07/photos-dinosaur-gerties-ice-cream-reopens-at-disneys-hollywood-studios/

作品の内容は

あらすじを確認

あらすじです👇

ある日、ウィンザー・マッケイは仲間達とドライブへ。
しかし道中、タイヤがパンクしてしまう。

タイヤを修理している間、皆で博物館を見学することに。
そこに展示してあった、恐竜の骨や化石を見て仲間のジョージがこう言ってきた。
「いくら名監督のマッケイ君でも、恐竜をアニメにするのは無理だろう。賭けてもいい」と。
そこで、マッケイは「その賭け乗った」と自信満々に答える。

それから半年後、マッケイの家でパーティが開かれ、「恐竜ガーティー」のお披露目をすることに。

スクリーンモニターには、岩山や湖、木の絵が描かれています。
マッケイ氏が「出てこい!ガーティ」と呼ぶと、メスの恐竜ガーティがひょこっと現れる。
彼女は岩や木を食べてしまう。
マッケイが「皆さんに、挨拶しなさい。」と言うと、ガーティは首を何度もさげて上手に挨拶をします。
次にマッケイが「右足を上げて」と言うと、上手に右足を上げます。
「今度は左足」と言うと、ガーティは他の恐竜に気を取られたり、口を開けてふざけます。

マッケイが「ダメな子だ。恥を知りなさい。」ときつくしかると、ガーティはポロポロと涙を流します。
そこで、マッケイは「泣かないで。カボチャをあげるから。」と。

「それじゃあ、左足を上げてごらん。」とマッケイ。
大きくうなずいたガーティは、うまくやりきってから、木の株を丸呑みします。

一頭の像のジャンボが目の前を通り過ぎます。
マッケイは「傷つけてはいけないよ。」と言うが、ガーティは尻尾をつかみ湖に放り投げます。
楽しくなったガーティは、踊り出します。
「ガーティは、音楽が大好きでね。彼女のために曲をかけてあげて。」と。

湖からその様子を見ていたジャンボは、ガーティに水を吹きかけます。
怒ったガーティは、逃げるジャンボに岩を投げつけます。

(ポケモンの)リザードンのような恐竜が飛んできます。
「今の見た?」とマッケイ。うなづくガーティ。
「物事を見る習慣があるの?」うなづくガーティ。
「本当に?」首を横に振るガーティ。
「嘘ついてたの?」 首を横に振るガーティ。
「水を飲む?」うなづくガーティ。
「じゃあ、湖の水を少し飲んでみてよ。」全部飲み干すガーティ。

「ガーティは、私を怖がっていないので、私を背中に乗せてくれるはずだ。」

そして、スクリーンに現われたマッケイを乗せ、皆に挨拶して消えていく。

ガーティのアニメーションを見終えた参加者は、拍手喝采。
さいごに、賭け金支払いのくだり。
晩餐会の費用は、完敗したジョージが全額お支払い。

皆で乾杯するシーンで、おしまい。

動画で確認

※この映画は無音映画です👇

Gertie the Dinosaur (1914) Open Culture



感想

当時としては、超大作です。
無音だし、間延びしたシーンも多々あり、今の私には13分強が正直長く感じました。
でも、これがアニメーションの始まりだったのです。
107年前の作品とは思えないクオリティーです。
ウォルトや他のアニメーターにとっても、革命的な作品だったのでしょう。

Hollywood Studios

ディズニー・ハリウッド・スタジオは映画産業の歴史に敬意を払い、学び、楽しむパークです。
そこに、映画の歴史上、初代の人気キャラクターのガーディがいることが大事なわけです。

はっきり言って、ガーディ自体は、ディズニー映画とは何の関係もありません。
しかし、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングが、ハリウッド・スタジオ(前MGMスタジオ)にガーディを作った意味を汲み取ると感慨深いものがあります。
他のパークではダメだったのです。
ガーディは、ハリウッド・スタジオのアイコンで、これからもずっと映画界を牽引してきた誇りを後世に伝えるべき、愛すべきキャラクターで居続けるでしょう。

最後は彼女のアップを👇

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